”うを芳”
その昔、当家の主人がある日、安濃川で丸々と脂ののった大きな鰻を捕まえました。
さっそく炭火で焼きますと、ジュウジュウと焼ける音もさながら、その匂いは何ともいえない香りを辺りにただよわせて焼きあがりました。
焼き上がった「うなぎ」は、それはそれはみごとなものでした。主人は、皿に盛るのももどかしく、おひつ(櫃)にそのままのせて食べました。
「うなぎ」の脂がしみこんだごはんは一層のおいしさでした。
満足をした主人でしたが、少し心残りは、おひつに残ったわずかばかりのご飯でした。
そこでお茶をかけてみました。なんとそれは、この世にある食べ物とは思えない美味しさでした。
以来、うを芳では代々秘伝の旨いものとして受け継がれたそうです。